どちらも皮膚に膨疹を生じる皮膚病ですが、いまいち違いが分からず、区別のつかない方も多いかと思います。
そのため、誤認しやすく、対処を間違えてしまうことも…。 間違った判断をしないためにも、両者について「原因」「症状」「治療方法」から、違いについて把握しましょう。
蕁麻疹の主な原因とは
アレルギーが原因となって発症するものや、物理的な接触で発症するもの、精神的・身体的ストレスによるものなど、発症原因は様々です。
このため、原因を特定することが難しいのですが、以下参考までに主に原因となる例をあげます。
- 魚介類
サバ、サンマ、マグロ、エビ、カニなど(青魚、甲殻類に多い)
- 肉 類
豚肉、鶏肉など
- 卵・乳製品
鶏卵、牛乳、チーズなど
- 穀類・野菜
大豆、小麦、蕎麦など
- 食品添加物
人口色素、防腐剤など 薬剤 抗生物質、解熱鎮痛薬、咳止め、非ステロイド性抗炎症薬など 植物・昆虫 イラクサ、ゴム、蜂など 感染症 寄生虫、真菌、細菌、ウイルスなど 物理的刺激 機械的刺激、圧迫、寒冷、日光、温熱、振動など 運動・発汗 運動による発汗、心因による発汗など 疲労・ストレス 身体的・精神的な疲労やストレス 内臓・全身性疾患 血液疾患、膠原病、血清病など
湿疹の主な原因とは
湿疹の場合、金属等への接触や皮膚表面が擦れるなど外部刺激による原因、内服薬等による体内から影響する原因などがあります。特に刺激物になる金属ではニッケルやコバルトなど(指輪、ネックレス、イヤリング、ピアス、腕時計などに含まれる)が知られています。
また他にも、植物(ウルシやギンナン等)によるものや、ゴム類(手袋や下着等)、界面活性剤(洗剤)、化学物質(化粧品等)も刺激も、湿疹を生じる原因となります。
原因となり得るものは少なく、原因の特定がしやすいといえます。
ass=”midashi01″>蕁麻疹の症状とは
基本的には発症後、皮膚部に灼熱感や痒みを伴う小さな赤い膨らみ(膨疹)を作り、数分~数時間ほど発症したあと消失します。
このように短時間で治まるものは「急性(発症から1か月以内で治まる蕁麻疹)」の場合が多いです。
ただし、原因が判明していないことが殆どで、症状を繰り返すことが多く、全てにおいて同じ症状がでるわけではありません。
特に「慢性(発症から1か月以上つづくもの)」は原因が解らない傾向が強く、夕方から夜にかけて発症し、翌日の午前中に消失します。
そして、また夕方から夜にかけて発症する、というサイクルを繰り返します。
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症状が皮膚に限定されているのであれば、数か月~数年の期間で治まる場合が多いです。
湿疹の症状とは
発症後、皮膚表面に痒みを伴う赤い発疹を生じ、後に水疱化します。水疱が破れる、あるいは潰れるとただれ、その上に症状を繰り返すことで搔痒感が強くなっていきます。当然ですが痒さを我慢できずに掻いてしまうと重症化し、数日~1週間以上症状が持続してしまいます。このため、絶対に掻かないようにしなければなりません。
蕁麻疹と決定的に違うのは発症期間です。湿疹の場合は数日以上症状が続くため、一日以上経っても治まらない場合には湿疹と考えてよいでしょう。
蕁麻疹の治療方法とは
蕁麻疹は何らかの刺激を受けた肥満細胞がヒスタミンを分泌し、血管やヒスタミン受容体と結合することで発症します。
このため治療薬には抗ヒスタミン薬を使用し、治療していきます。
この抗ヒスタミン薬はヒスタミンの替わりに血管やヒスタミン受容体と結合することで、ヒスタミンの働きを妨害する役割をもった薬剤です。
また近年では、肥満細胞からヒスタミンを分泌すること(ヒスタミン遊離)を抑える「抗アレルギー薬」という治療薬も増え、今では最も使用されている治療薬になります。
なお、一口に「抗ヒスタミン薬」といっても種類は豊富にあります。このため、患者個人に合わせた処方をすることが可能ですし、場合によっては抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬を組み合わせて治療を行うことがあります。
湿疹の治療方法とは
重症化した場合は、ステロイドの外用薬を塗布します。
このステロイド薬は効果のレベルが5段階に分かれており、症状によって効果の違うステロイド薬を使い分ける必要があります。このため自己判断による使用はせず、必ず医師の指示通り使用しましょう。
また、ステロイド薬と共に保湿剤を併用することや、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を内服することもあります。
因みに軽症の場合は保湿剤だけで治療します。 以上のように、蕁麻疹と湿疹とでは治療方法が違うので、自己判断で持ち合わせている薬を使用することは絶対にしないようにしましょう。